
オープンハウス
リノベーション相談会
「子ども食堂」を通じて、地域を元気にしたい。アイデナルボランティアサロン。
大分県別府市で、子ども食堂、学習室、喫茶を運営している『アイデナルボランティアサロン』。2017年の設立以降、「ボーダレスな居場所づくり」を目指して、子どもからお年寄りまで誰もが食事や作業などの共通体験を通じて、つながる場所づくりに取り組んでいます。
全国各地のボランティア活動を通じて感じた「居場所」の大切さ。
『アイデナルボランティアサロン』代表の渡邉和美さんは宮崎県のご出身。現在は別府市を拠点に、主に困窮世帯や母子家庭世帯の親や子どもを支える『ハスノハ子ども食堂』『ハスノハみんな食堂くすの木』『あいでなる学習室』『ハスノハ生きる教室』を運営しています。
約25年間にわたり、主に母子支援活動に取り組んできた渡邊さん。2011年、東日本大震災が発生した1か月後には東北へ出向き、『水上プロジェクト』などを立ち上げ活動をスタート。震災後の困窮などを抱える人たちを対象に、福島県猪苗代町で子どもたちのためのシェアハウス開設も実行しました。その間も、東北、関東、関西、九州と、全国各地を回りながら、助けを必要とする人たちをサポートする活動を続けていたそうです。

活動は国内にとどまらず海外にも。小児病棟での家族ケアや子どもたちのサポート、現地に住む日本人の心のケアなど、多くの家庭の支えとして数え切れないほどの活動に尽力してきました。
自身の不調やコロナ禍を迎えて。困窮世帯の増加を予想し、子ども食堂をスタート
全国・世界を飛び回っていた渡邊さんですが、ご自身の体調も考慮し、拠点を構えることを決意。以前暮らしたことのあった大分県の中でも、温泉があり、自然豊かな別府市に居を構えました。
その後、体調を崩して入退院を繰り返していた時期があったそうですが、「元気になったら、これまでのように全国を飛び回る活動ではなく、地域に根付いた活動をしよう」と考えていたそうです。「いろんな地域の現状を目の当たりにしてきた私が感じたのは、大分県には子どもに対するサポートが少ない地域もまだまだたくさんあるということでした」。コロナ禍に入ったタイミングでもあったことから、困窮世帯はさらに厳しい状況になると予想した渡邊さん。これが、子ども食堂をオープンしたきっかけでした。

子どもも、高齢者も、困った人が気軽に立ち寄れる場所をつくるために
困窮世帯をサポートする手段はさまざまにありますが、なぜ子ども食堂だったのか?と尋ねると、「食べることは生きることだからです」と渡邊さん。「食事は“明日も生きていこう”とう約束のようなもの。だからこそ、毎日当たり前に食事ができる環境を提供することが大切なんです」。

単に食事を提供するだけではなく、“子どもたちが自分の意志で来て、何かを伝える場所”でもありたいといいます。食卓を囲む、一緒にキッチンに立つ、食後に話をする。子ども食堂をきっかけに生まれたつながりは、子どもたちの心をひらくきっかけにもなるのかもしれません。「だからこそ、いつも扉をあけておきたい」。渡邊さんの思いは少しずつ周知され、地域の子どもたちや保護者だけでなく、買い物難民になってしまった高齢者へ定期的に食材やお弁当を配布するなど、大人の世代に向けた活動にまで広がっています。食材提供をしてくれる地域の人や農家さんたちの協力もあり、生産者の顔が見える食事も実現しています。
空き家活用だからこそ実現できた、のびのびと過ごせる環境づくり
『NPO法人空き家活用サポート』との縁で開設した『ハスノハみんな食堂くすの木』は、海に隣接した物件をリノベーション。「物件探しには本当に苦労しました」と振り返る渡邊さん。大きな声を出したり、走り回ったりと、子どもたちは元気に過ごすため、嫌煙されることもありがちだそうです。「住環境は子どもの心と身体を形成するうえで重要な要素のひとつ。我慢させながら過ごす場所では、子どもたちがのびのびと過ごせませんからね」と、妥協しませんでした。

ようやく出合えた物件があるのは、以前から運営していた『ハスノハ子ども食堂』には自分の足で来られない子どもたちのためにお弁当を配達していたエリア。「配達も近くなるし、来てくれる子どもたちも増えるかもしれない」とこの場所を選んだそうです。
長く空き家になっていたため、床も壁もボロボロ。「普通なら、無理だと諦めるかもしれませんね」と大幅な修繕が必要でした。和室のアパートのような造りだった間取りをひとつづきにし、数人が一緒に調理できるキッチンがある広々とした空間にしました。
昔ながらの綿壁は、塗装関係の仕事をしている子どもの父親にお願いしたところ、子どもたちと一緒に作業をしてくれることに。「“ここは僕が塗ったんだよ”と、子どもたちはよく自慢していますよ」と、理想的な空間になりました。
有効活用できれば、空き家には無限の可能性がある。
子どもたちをはじめ、地域の人たち、ボランティア仲間といった多くの人たちの手で完成した場所。手はかかったものの、そのぶん愛着が持てる場所にできたのは、空き家を活用したからこそ感じられた喜びです。
新築に比べて費用を抑えられたのはもちろん、渡邊さんが実感したのは、地域の人が気にかけてくれること。いつできるの?孫も連れて来ていい?と話しかけてくれる人も多かったそうです。長く空き家になっていて暗かった通りに明りが灯り、高齢者ばかりだった地域に子どもたちの元気な声が聞こえてくる毎日。「ここで長く暮らしてきたみなさんの心にも、明かりが灯せたかなと思っています」。
多くの子どもたちを見てきた渡邉さん。多様性の時代において、空き家は大きな可能性を感じているといいます。「大声を出したり、暴れたり、ここなら好きにやっていいよ!という場所が増えれば、子どもたちが抱えるストレスも軽減されるはずです」。空き家を地域の大切な資源としてとらえ、社会全体で上手に活用できる仕組みができれば、誰もが笑顔で暮らせるまちづくりにもつながるのかもしれません。